粒状体の現象論的力学モデルとその農業機械分野への応用

摘要

粒状体は，大きさや形の異なる様々な粒子の集合体で，金属材料等と異なり，外力の作用により圧縮·膨張や流動などの非常に複雑な力学挙動を呈する。このため，主に，粒子一粒一粒の運動を逐次追跡していく方法と，粒状体の平均的な運動（変形）を追跡していく方法により，粒状体の力学的挙動の計測や理論（数値）解析が行われてきた。 特に，理論解析法には，前者に対して個々の粒子の運動を離散的に取り扱う分子動力学法(MDM)や個別要素法(DEM)等が，また，後者には粒状体を連続体近似しその運動（変形）を取り扱う有限差分法(FDM)や有限要素法(FEM)等が広く採用されている。MAGMAプロジェクトにおいても，両解析法を利用した粒状体の力学挙動解析が主に行われている。本稿では，後者の解析法を中心に，粒状体の挙動表現のためのいくつかの現象論的力学モデルの概要と，農業機械分野への応用事例として，これまで九州大学大学院農学研究院生産環境科学部門生物生産工学研究室で行ってきた研究成果の一部を紹介させていただく。