高精度ハイブリッド超音波流量計

摘要

超音波は，基本的に固体，液体，気体を問わず伝搬する。この性質を利用した超音波流量計の最大の特長は，非接触で流量測定が可能なことである。 近年，超音波パルスドップラ法を工業流量計測へ応用する試みが報告されるようになった。超音波パルスドップラ法は流速分布を直接測定できる（この意味で，以下UVP：Ultrasonic-Doppler Velocity Profiler法と呼ぶことにする）。 このため，差圧式や伝搬時間差式など，他の測定方式で必要な補正係数が不要であり，発達流だけでなく未発達流においても高精度な流量測定が期待できる。 流速分布をリアルタイムに測定できることから，設備診断ツールヘの応用も考えられえる。また，液体内の気泡やパーティクルによる反射を利用するため，従来伝搬時間差法で適用が困難であった高粘性流体や，多量の気泡や異物が混入した液体の高精度流量測定への応用が考えられる。しかし，測定原理からくる制約がある。 第1に，十分なエコー信号を得るために測定流体内には流動場のトレーサとなる気泡やパーティクルなどの反射体が必要不可欠である。 第2に，サンプリング定理の制約のために測定可能な最大流速は他の測定原理と比較して小さい。 第3に，非接触測定の場合，超音波トランスデューサ近傍の音響ノイズの影響により直径全域に渡る流速分布の測定が難しい。