NH_3冷媒の沸騰熱伝達特性に及ぼす非相溶性油の影響：液満式シェルアンドチューブ蒸発器に関する実験研究

摘要

近年，地球環境問題の深刻化によるフロンガスの規制から自然冷媒の重要性に対する認識がますます高まってきている．アンモニアは，毒性，可燃性，腐食性などの短所があるが，ODP，GWP がともにoであるため，地球環境への影響の心配がなく，蒸発潜熱，熱伝達率が大きく伝熱特性が良いなどの長所がある．アンモニアの満液式蒸発器を持つ冷凍装置においては， PAG 等の相溶性油が使用されている場合もあるが，入手性や取り扱いの容易さ等の利点から鉱物油を利用している場合も依然として見られる．また，シェル側のアンモニアの沸騰熱伝達については，PAG を混入させた実験は報告されているが，非相溶性油については研究が報告されておらず，熱伝達に及ぼす油の影響が不明である．本研究では，アンモニア冷媒の満液式シェルアンドチューブ蒸発器を用いて，冷媒に鉱物油を混入させたときの伝熱特性を実験により明らかにすることを目的とした．