第4回：中国人の行動規範·倫理（下）

摘要

「孝」の浸透例として，仏教を取り上げる。武漢の浄土宗の寺で入手した無料配布の本の中に「真正的大孝」という題のハンドブックがあった。読んでみると，「孝道とは，まず第一に父母や祖先に孝養を尽くし，第二に自分自身が立派なことをし，本当の孝は，自分の父母と祖先を六道から離すのが真の大孝」と書いてある。六道とは仏教以外の道のことだから，この文章は仏教の宣伝である。しかし，孝を大事にしているのは，儒教の影響というべきか，実は中国の仏教は儒教の一部と見るのが私の結論だ。この寺の別のハンドブックに「人生之目的」があり，これ読むと，論語の「朝に道を聞かば，夕に死すとも可なり」を引用してある。まさにこの寺の中国仏教は儒教そのものだ。尚，この本には人生の目的は「達成」と書いてある。実はこれは私の人生の目的と同じである。