差別化のポイントは「使いやすさ」の追求にあり！ユニバーサルデザインの考え方と適用の実際：ユニバーサルデザインは競争力の源泉多くの人が「カンタン」に使える新機能を標準機に盛り込む

摘要

少子高齢化により，日本の生産年齢人口（15歳～64歳）は今後，減少し続けていくことになる。 この現実は，オフィスワークの変革を迫るものであり，企業はこれまで以上に，オフィス機器のユーザビリティ（使い勝手や使いやすさなど）やアクセシビリティ（アクセスのしやすさ，接近可能性など）を重要課題としなければならなくなった。 こうした流れを先取りするかのように，リコーでは1990年代からユーザビリティを推進。 MMC（マン·マシン·コミュニケーション）推進室という専門部署をつくり，製品のユーザビリティを向上させてきた。 1990年代後半には，MMC推進室をアプライアンス推進室とし，アクセシビリティの向上にも取り組み始めた。 同社の経営品質管理本部アプライアンス推進室でアクセシビリティを推進する酒井英典スペシャリストは，日本でアクセシビリティを加速させた要因の一つとして，2001年に米国で施行されたリハビリテーション法508条（以下，508条）を挙げる。508条は，米国の連邦政府が調達するIT機器や連邦政府が提供するウェブサイトがアクセシブルでなければならないとした法律である。 日本では，2004年5月から順次，アクセシビリティやデジタル·デバイド（情報格差）を解決する技術基準として，情報アクセシビリティJIS X8341（以下X8341）シリーズが規格化された。 X8341シリーズの中でコピー機やプリンタ，複合機などの事務機器は，2006年1月に5番目の規格(X8341-5)として制定され，現在，同社のみならず業界全体が対応を進めている。