理念から実践へ 重みを増す設計者の責任：新しい機械安全の原則に沿った設計実務のポイント－安全な機械の設計：機械の本質的安全設計方策とガードを利用した設備安全方策

摘要

現在，日本の機械設計者はISO12100（機械類の安全健－設計のための基本概念，一般原則）を始めとする機械安全規格にしたがって，機械の設計·製造を行うのが常識となりつつある。 しかし，機械安全規格に関する知識と技術が急速に普及する一方で，労働災害の発生件数は下げ止まり，重大災害は増大の傾向にある。 このため，厚生労働省では，平成18年度の労働安全衛生法の改正で，安全管理者を選任すべき業種の事業場に対して，リスクアセスメントの結果に基づく災害防止対策の実施を努力義務として定めた。この改正は，機械設計者の業務にも影響があると考えられる。 本稿では，まず，この法改正で機械設計者に推奨される本質的安全設計力策とガードを利用した設備安全方策の要点を概説する。 そして，以上の対策の実施にあたって留意すべき点を，当研究所での最新の災害分析結果を踏まえて考察する。