新規なニッケルフリー白色銅合金の開発

摘要

近年になり、人体に対する金属アレルギーが問題となっており、ヨーロッパではNiを含んだ金属製品の使用が規制され始めている．デンマーク環境庁は、「明らかにNi を含んだ商品の販売に対する禁止法令」、いわゆるデンマーク法を制定し、1991年1月10日以降、遊離ニッケルが0.5 μg／cm{sup}2/週を超えるNiを含有する金属製品の販売を禁止した．そのため、Niフりー化への様々な対応が進められている．銅合金も例外ではなく、洋白と呼ばれるCu-24mass％Zn-13mass％Ni合金（以下、洋白）は、美しい白色系の色調と優れた冷間加工性、低い時期割れ感受性を有するため、スライドファスナーやリベット·ポタン、眼鏡フレームに使用されてきた．しかし、合金には約13mass％（以下massを省略）のニッケルが含まれているためアイレルギー発生の恐れがある．洋自が白色系の色調を有しているのは、合金組成中に含まれるNiがCuの赤色を効率的に白色へ変化させる効果を有するためである．Cuは、Al合金やFe合金等と同様、種々の元素との合金化により優れた特性が得られることが知られている．例えばZnとMnは、Cuに常温で比牧的多量に固溶し、Cuの機械的性質を向上させる元素であり、ZnとMnを添加したCu-Zn-Mn糸高力黄銅はカム、バルブ軸、船舶金物など多数の用途に億用されている．またTiは、Cuへの数％の添加や時効処理により高強度化が可能であるため、バネ用高強度合金としてCu-Ti系合金が実用化されている．このように、遷移金属であるZn、Mn、Tiは、Cuの機械的性質の向上などの実用面で重要な添加元素である．