炭酸塩水溶液中における炭素鋼と銅の孔食生成に及ぼすCl~-イオンとSO_4~(2-)イオンの影響

摘要

熱交換器冷却管の材料である炭素鋼と銅の孔食生成に及ぼすCl~-イオンとSO_4~（2-）イオンの影響について、冷却水を模擬した炭酸塩水溶液中（冷却永中にはCO_3~（2-）イオンとHCO_3~(2-)イオンが含まれ、孔食生成にCO_3~(2-)イオンやHCO_3~(2-)イオンのインヒビター効果が大きいとの指摘があることから、本研究では不働態皮膜形成剤として炭酸塩水溶液を用いた）において検討した結果は次のとおりである。 （1）0.01M Na_3CO_3水溶液中において軟鋼では－0.85～＋0．85V（SCE）に、銅では0～＋0．67V（SCE）に不働態領域が観察された。 （2）軟鋼、銅ともCl~-イオン、SO_4~（2-）イオンの添加によって孔食が発生した。 （3）孔食電位はCl~-イオン及びSO_4~(2-)イオン濃度の増加によって卑な電位に移行した。 （4）脱酸剤としてのNa_2SO_3添加は孔食を発生させる。 （5）孔食部分の周りに、Cl~-やSO_4~（2-）の濃縮がEPMAにより確認された。