MR流体ブレーキを用いた制御型短下肢装具(I-AFO)による歩行制御

摘要

我々はより正常に近い歩行動作の獲得を目的に，MR流体を用いたコンパクト型MR流体ブレーキおよび各種センサを組み込んだインテリジェント短下肢装具(I-AFO)を開発し，足関節制御の研究を行ってきた．そこで，本報告では，上記で開発したI-AFOを足関節弛緩性麻痺患者へ適用し，歩行制御およびその評価を行う．対象はギランバレー症候群の男性1名（身長183.0cm，体重83.1kg）である．被験者男性は下肢末梢部の随意運動が困難であり，日常生活ではプラスチック製AFOを装着している．また，廃用性筋萎縮も著明にみられ，裸足時の歩行では下垂足(drop foot)となっている．この対象者に対して，裸足，プラスチックAFO，I-AFOのそれぞれによって平地歩行を行わせ，3次元動作解析装置および床反力計にて測定した．結果，I-AFO歩行では膝関節では滑らかな屈曲増加がみられ，より正常歩行に近い膝関節の運動が行われた．また，遊脚期の背屈保持により，足尖と地面のクリアランスの維持も可能となり，普段は見られない踵接地が出現した．