小電力供給用金メッキスリップリングシステムの特性に及ぼす潤滑油補給の影響

摘要

著者らは、これまで金メッキスリップリングとAg-Pdブラシシステムの劣化過程について調べてきた。その結果、潤滑油を塗布した場合、寿命は延びるが、その寿命は1000時間程度から7000時間の範囲で大きく変動することが分かった。過去の実験では、潤滑油を約900時間ごとに給油し、実験を行なった。その結果定期的に塗布した場合、8000時間を超える寿命が実現できた。長寿命が実現できた理由として、潤滑油は、摩耗を減少させるだけでなく、Ni層の酸化も抑制する効果があるためと推測され、摺動面の劣化モデルを提案した。そして、今回の実験では1000時間ごとに給油する方法をとり、実験を行った。その結果、全体を通して安定した接触電圧を示し、2500時間経過後から徐々に接触電圧が上昇してくことが確認された。また、潤滑油補給後では接触電圧が減少することが確認できた。このことから、潤滑油は長寿命化を実現するのに有効な方法であるということが言える。