制限時間付き大容量ファイルダウンロードのための動的帯域割り当て方式

摘要

近年，ネットワークの高速·巨大化に伴い，大容量ファイルのダウンロード要求が増加しているが，これらは一般的にベストエフオートで処理され，ネットワーク状況によってダウンロード完了までの時間に大きな差が生じてしまう．本研究では，帯域保証されたネットワークにおいてユーザが定めた制限時間までにダウンロードを完了させ，それが不可能な要求は棄却するモデルを想達する．より多くの要求を受け入れるためには，ネットワーク中に時間的余裕のある要求を多く残すことが有効であると考えられる．時間的余裕とは最低限制限時間を満たすだけの帯域よりも多くの帯域を割り当てることにより短縮できた時間のことであり，この余裕を利用することで，後に発生する要求に対してより柔軟な帯域割り当てが可能となる．そこで，本稿では得られる時間的余裕が大きい要求を優先的に処理するために，各ダウンロード要求に帯域資源の利用量及び残余時間を考慮した評価値を定義し，評価値の大きい要求に多くの帯域を割り当てることにより呼損率を低減する動的帯域割り当て方式を提案する．また計算機シミュレーションによって提案方式の性能を評価した．