眼球運動測定によるeラーニング学習者の主観難易度推定

摘要

本論文は，学習者が問題解決中に学習内容に対して主観的に感じる「簡単／難しい」いずれかの評価を主観難易度と定義し，選択式英語リスニング電子教材を対象に解答時間における眼球運動から設問単位で主観難易度を推定する手法について提案し，有効性を評価する．本提案手法では、事前に主観評価実験を行い、眼球の移動速度、視野角度変位（x、y方向）、瞬きの回数などの8項目の眼球運動特徴量について分析した。U検定の結果，主観難易度によって眼球運動特徴量に有意差が確認され，これらを特徴量に用いることとした．さらに，眼球運動特徴量は，被験者を増やすことによりバラつきが小さくなることを確認した．SVMを用いて主観難易度を推定した結果，「簡単」85.7％，「難しい」86.8％の推定の一致率が得られた．このことから，眼球運動測定データを用いて学習者の主観難易度を推定できる見通しが得られた．