自然エネルギーとしての『ヒートポンプ』－エネルギーのリサイクル技術：8.蓄熱システムによるエネルギーの負荷平準化

摘要

業務用施設の場合、一般的に空調は人出の多い昼間に行い、人出が少なくなる夜間はあまり行われていない。 また、春や秋など端境期も空調の稼働率は低くなる。 しかし、最も暑い日や寒い日こそ空調が必要となるため、そのときに空調の効きが悪くならないよう、一般的に必要な能力より大きめな空調設備が導入されている。その結果、空調設備はつねに余力を持って稼働しているのである。 しかし、この余力こそが空調設備の効率を悪くする原因の一つになっているのである。 余力があると能力を抑えた部分負荷運転や、動いたり止まったりを繰り返すことになる。 この部分負荷運転時やオンオフは、無駄なエネルギーを多く消費し、効率を悪化させるのである。 したがって、効率の良いヒートポンプを導入してもこのような運転を繰り返すのであれば、高い省エネルギー効果が薄れてしまう。そこで熱エネルギーを蓄え、必要に応じで使うことができる蓄熱システムが注目されるのである。夜間に熱エネルギーをあらかじめ効率の良い運転で蓄え、昼間に放熱する。これが蓄熱式空調システムの基本的な稼働パターンである。