『中国のアルミ圧延業の現状と見通し』

摘要

中国のアルミ圧延品の生産·消費は，政府の景気過熱抑制策により足許では若干の伸び率の鈍化も予想されるが，長期的にはなお拡大の方向をたどるものと思われる。 以上に概観したとおり，板·箔·押出各分野において既に日本の生産規模を大きく上回り，更に熱間及び冷間圧延ライン，箔圧延ライン，大型押出プレスなどの設備面での増強も進められつつあることを考えると，中国が将来アジア地区におけるアルミ圧延品の巨大な供給基地となることは間違いないであろう。 現時点においては，生産技術や品質面での日本との格差は依然大きく，その解消にはなお時間を要すると見られるが，新鋭設備の本格稼動と相まって技術や品質は今後着実に向上していくものと判断される。 中国の生産を上回る消費市場の拡大に対し，これまでは日本·韓国等が供給者としての役割を果たしてきたが，押出や箔分野では既に中国はネットの輸出国に転じており，板分野についても設備増強と技術の向上により自給体制の確立から輸出の増強へと進むのは時間の問題であろう。 今後10年の間に，アジアのアルミ圧延品の市場とその供給構造は中国を中心に大きく変化すると予想されるが，日本のアルミ圧延業はこの動向を見極めつつ生き残りをかけた戦略の構築を図らねばならない。