接合界面について（1）

摘要

金属基板に対する塗料·接着剤などの樹脂（高分子）の密着性に影響する要因は多いが,結合を支配する分子，原子オーダーでの界面相互作用については,従来ほとんど知られていなかった。しかし1970年代に入って，オージェ電子分光法（AES）,X線光電子分光法（XPS）あるいは2次イオン質量分析法（SIMS）などの表面分析法が確立されて,固体表面のナノオーダー（1nm＝10~（-9）m＝10A）の組成·構造の定量分析が可能となり,その結果,従来推定に過ぎなかった化学結合の存在が実証されてきた。 界面の化学結合に関する新しい知見は，接着結合に関する理論的研究を促す一方で,樹脂系および金属系のそれぞれの分野で，表面と界面の制御を可能とし，その成果は製品の改良や新材料の開発成年かされている。