炉体·連続鋳造用耐火物でのCAEの活用

摘要

ここでは，有限要素法（FEM）を用いた熱応力解析，伝熱解析を絵称して構造解析と表現しておく。耐火物におけるCAE（Computer Aided Engineering）の一分野としての構造解析は，その重要性をますます増しているのが現状である。構造解析の耐火物への適用は，1980年前後から始まっているようである。簡単な形状から，拘束の影響を考慮した検討，さらに，目地，鉄皮等の影響を考慮した検討が行われ，耐火物の損傷に影響を与える割れの現象を実験と整合させて解析している。どちらかと言えば，耐火物に発生する亀裂現象の理解の一助として，あるいは解析手法の開発のための構造解析など，芙炉が先行して後追いとしての構造解析が主であったように思われる。90年代初頭に市川は，当時の状況を辞して，「従来の経験に基づく実機化から脱皮し，理論的，実験的に対応されつつある」と述べている。その後は，基本的にはこの方向に進んできたと思われる。著者は市川後の10年を，「（構造解析が）製品開発に役立ちつつある」と許した。そして，最近は広く，耐火物材料を実炉に適用するに先立つ解析として，あるいは炉体設計に先立つ解析としての事前評価解析，すなわち，このように表現してよければ，「材料及び設計アセスメント」としての構造解析という色彩も強くなっていると思われる。