三宅島2000年噴火一酸性雨編－

摘要

本文では，三宅島の火山灰採取用トレーにたまった降水についてpHや硫酸イオン濃度を測定し，酸性雨データとの比較を行いました。 その結果，得られた降水試料には日本の酸性雨の数倍もの硫酸イオンが含まれており，その濃度は大気汚染が問題となった高度成長期以降の測定値に匹敵することがわかりました。これは，火山ガスに含まれる二酸化硫黄が，降水に溶けたためと考えられます。今回は，火山灰採取用トレーを用いた臨時的な調査であったため，水道水による洗浄の影響などの問題が残りました。 また。 湿性沈着と乾性沈着とを区別することもできませんでした。 今後は，火山ガス吸着器などの結果の解析や，新たな酸性雨の採取調査を行い，湿性沈着と敵性沈着の影響をそれぞれに明らかにする必要があると思われます。 特に，ガスが地をはうように流れる天候時の乾性沈着の影響は未知数です。 もしそのような場合に乾性沈着が大きな影響を与えることがあれば，島内で最も大きな湖である大路池では，ガスに含まれる酸性物質が吸着されて北欧や北米のような酸性化が起こる可能性も考えられます。 大路池周辺の地下水は，島の重要な水源となっています（青木ほか，1銅4）。 もし大路池が酸性化した場合には，水源まで汚染される可能性も考えられ，したがって大路池の水質の監視は重要であると言えるでしょう。 産総研地質調査総合センターによる三宅島火山研究の最新値熱ま，当センターのwwwページで公開しておりますので，どうぞ御覧下さい。 また，本文中で使用したwwwページのアドレスも以下に記しました。