花崗岩類のS，I，Aタイプとリン含有量--スロバキアと日本の場合

摘要

大陸的環境下のスロバキアと島孤環境下の日本列島と，異なる環境下で生成した花崗岩類のリン存在量について総括を試みた．前者ではSタイプが花崗岩類の大部分を占め，ついでⅠタイプとAタイプである．一方，日本列島ではⅠタイプが殆どであり，恐らく10％以下のSタイプ，1％以下のAタイプから構成される．リン含有量は一般にシリカ含有量と反比例し，カルシウム含有量と比例的である．シリガ含有量が70％以上の花崗岩質岩渠に注目すると，スロバキアでリン含有量はS,I,Aの順に低下する．最も高いSタイプ花崗岩菜（＞70％SiO_2）は0.07～0.23％含み，そのリンは一般にアパタイ·モナズ石，および結晶分化が進んだマグマではアルカリ長石に含まれる．その理由は，アルミナ過飽和のSタイプマグマでは，Berlinite（APO_4）置換により，リンが残メルトに濃集するためである．