気液二相流における気液流量の簡易推定法

摘要

しかし，これらの研究は比較的低いクオリティーにおいてのみ適用できるものであり，一般の蒸気配管で見られる環状流のような高クオリティーにおける流量測定には使用できない．さらに，流路内に何らかの物体を挿入する必要がある．既存の配管では，管路内に何らかの物体を挿入することは固形物の堆積による閉塞，圧力損失の増大といった問題が発生する可能性があるばかりではなく，工事による操業停止や多額の工事費が必要などの問題から，実施が容易でない場合が多い．また，圧力損失や脈動周波数と気液流量との校正データを予め実験によって求めておく必要もあり，これら多くの課題から実設備に導入された例は少ない．従って，ある程度の誤差を許容しても，低コスト，かつ既存の配管を大きく変更する必要がない方法があれば，工業的に極めて有用であろう．本研究では，気液流量を求める新たな方法として，管路の水平部および垂直部において圧力損失を測定し，それらから気液流量を求める方法を提案する．この方法の大きな特徴は，管路内に何も挿入する必要がないことと，圧力測定孔を設けるだけの簡単な工事で実施できるため，既存の管路にも容易に適用できることである．さらに，予め校正データを準備する必要もない．本論文では，この測定方法について詳細に述べる．また，それを空気·水系二相流へ適用し，本方法の有用性を検証するとともに，課題についても合わせて議論を行う．