原子炉における気液二相流複雑流動評価に関する技術開発（非定常·非均質気液二相流のボイド率計測、数値解析、および非線形統計解析）

摘要

原子炉開発において構成方程式を求めるために必要な実験の一部を代替するために、気液二相流の複雑な非均質、間欠的挙動を反映した数値解析技術の開発を行なった。 基礎的な原子力熱流動に関連した非定常性、非均質性の強い気液二相流現象を対象とし、高い空間分解能と時間分解能を併せ持つワイヤメッシュセンサ計測系を構築し、断面ボイド率の瞬時·空間時系列データを収集した。また、数値計算と実験結果の動的な特性を評価する基準として、相関次元や軌道平行測度などの非線形統計量を選択し、計算と実験のダイナミクス特性を比較するには低ノイズで長時間のデータが必要であり、これらは特にスラグ流に対して有効であることを明らかにした。従来の低次元ダイナミクスを想定した非線形解析手法では比較が困難であったため、流れの局所的な状態を直接測定する断面ボイド率計測と、最適な軌道再構成法とポイント相関次元法を組み合わせる事により、解析の客観性·信頼性を向上させることができた。 本解析手法は、主としてスラグ流のような非定常で間欠的な流れの解析に有効であることがわかったが、気泡流や液膜流などでも擬周期的な現象の時間変動を計測できれば、相変化を含めて同様の解析が可能と考えられる。