物理的や信号処理によるステアリングと組織変位ベクトル成分の計測精度の関係

摘要

我々は、超音波を用いた組織変位ベクトル計測法を開発している。例えば、多次元自己相関法等の計測法を開発し、ステアリングビームや偏向平面波を用いた高精度な計測を実現している。交差ビームまたは交差波を使用した場合は、横方向変調を実現でき、ステアリング角度を大きくすると横方向周波数を高くでき、横方向の変位成分の計測精度が向上するが、その際に、深さ方向の変位成分の計測精度も向上することを報告している。我々は、複数ビームを用いてOver-determinedシステムを生成して、最小二乗法や計測結果の平均を計算する、また、コヒーレントの重ね合わせを行うことが有効であることも報告している。それらの場合に横方向に広帯域化することの有効性も報告している。また、信号処理によりスペクトルを周波数分割して疑似ステアリングビームや疑似偏向波を生成する場合にも、深さ方向と横方向の変位成分の計測精度が向上することを報告している。本稿では、寒天ファントム実験を通じて、それらの計測精度を確認した結果を報告する。