進行波型超音波リニアモータの小型構成の検討

摘要

エアシリンダに代わる長寿命で小型なリニアアクチュエータとして、超音波リニアモータの小型化について検討した。定在波型超音波モータは駆動部の接触面積が小さく、耐久性向上がむずかしいため、原理上接触面積を大きくとれる進行波型を採用した。進行波型では2つの振動子を振動棒両端に取り付けて進行波を伝播させるが、本稿ではPZT板を直接振動棒に貼り付けるバイモルフ構造で小型化を目指した。まず、進行波を得るために必要な2つの振動子間の距離と時間位相差の条件について述べた。実験では長さ206mm、6nm角のアルミニウム棒を振動棒として用い、棒端から10mmの位置に、厚さ1mmのPZT板を向かい合わせるように2枚ずつを貼り付けた。吸収体を用いて片側の振動子のみを駆動した実験により求めた周波数などの駆動条件により、2つの振動子を位相差駆動させて振動棒を励振すると、位相差150°及び210°においてそれぞれ逆方向へ進む進行波が得られた。この実験結果から、バイモルフ振動子の進行波発生の等価的波源位置がPZT板全体の棒の端側から1／3であることがわかった。進行波の面外振動速度85mm/s、面内振動速度23mmsにおいて、振動棒を金属ブロック2つで挟み摩擦駆動させたところ、棒の両方向駆動を実現し、その速度は5.0mm/s～10mm/sであった。