停泊中船舶の騒音源解析と周辺へ及ぼす騒音の予測

摘要

近年，港湾周辺にまで市街化が進み停泊中の船舶騒音が周辺の環境問題として健在化しており，その改善は社会的責務となっている．船舶騒音の適切な改善には定量的な騒音源の把握と周辺への騒音影響の予測が重要である．一般に消音効果の大きい大形排気消音器の船舶への搭載はスペース的に困難で，消音効果の小さい比較的小形のものが採用されるため，停泊中船舶の騒音源のなかでは発電機関の排気音の寄与が最も高いとされている．このような状況では排気音が障害となり，排気音以外の騒音源を調査することは困難である．今般，東京海洋大学練習船“神鷹丸”の2台の主発電機関（以下，主発という）のうち1台にアクティブ排気消音器を増設し，排気音の影響がほぼ無視できるレベルまで低減した．そこで，排気音以外の給排気ファン，同開口部からの機関室内音および船体騒音などの騒音源もパワーレベルとして分離·抽出し，これら音源の周辺への騒音影響を音線法により調べた．併せて騒音低減の方策も検討した．