超音波照射による浮遊余剰汚泥の浮上濃縮に関する基礎研究

摘要

多くの下水処理場では活性汚泥法と呼ばれる微生物の生物活動を利用した排水処理法が用いられている。 従来は主として沈殿法を用いて処理後の水と汚泥を分離していたが、近年の環境の大きな変動によりバルキング汚泥と呼ばれる沈殿しない汚泥が増えている。 そこで、本研究では、水槽内の汚泥に超音波を照射して、定在波音場を形成することによって、活性汚泥中に音響キャビテーションを発生させた。 その結果、音響キャビテーションによって発生したバブルが汚泥粒子に付着して、汚泥の見かけの密度が減少して水面に浮上することが分かった。 本研究の結果を応用した超音波浮上濃縮法を用いることで、従来の沈殿濃縮法では回収の困難であったバルキング汚泥等も回収可能になるものと期待している。