超音波による体内臓器の3次元実時間位置検出法の開発

摘要

最近の放射線治療では治療する組織，例えば腫瘍のみに正確に狙いを定め，放射線の照射を行っている．さらに，患者の呼吸による組織の移動を考慮して呼吸に同期させて放射線の照射がなされている．このようにして治療以外の周囲の正常組織にはできる限り放射線の被曝量を押さえて，放射線治療の副作用を最小限にするための努力がなされている．この研究では超音波を用いて体内の放射線治療組織の呼吸性移動を直接モニターする方法の開発を目的としている．方法として，超音波2D アレイ探触子を用いて互いに直交する2断面方向に超音波ビームを高速に連続走査する．各々の断面方向で時相の異なる2枚の断層画像につき，相関法から目的の組織の移動ベクトルを演算する．2断面方向の各々で組織の移動ベクトルを求め，ベクトル合成により，組織の3次元移動ベクトルが推定可能である．超音波模擬ファントムで本方式の移動検出精度の測定を行い，さらに生体で呼吸に同期した波形が得られたことを報告する．