材料劣化への量子化学計算の応用：燃料電池用電解質膜の劣化

摘要

化学プロセスにおいて材料の劣化特性を把握することは重要である。しかしながら，劣化を評価するためには，耐用試験及び解析に多大な時間がかかるため，新規材料開発のためには，何等かの理論に基づいて材料の劣化特性を迅速に評価できる方法が必要である。そこで，量子化学計算のような理論的なシミュレーション方法で劣化を評価できれば，材料開発においての効率化が期待できる。材料劣化においては，化学的なものと力学的な劣化が考えられるが，本稿では，前者の化学劣化について，固体高分子形燃料電池の電解質膜を例に量子化学計算による検討例を紹介したい。