甘草の水耕栽培薬用植物資源の保護と確保

摘要

生薬「甘草」は，医薬品，化粧品および甘味料原料として重要である.しかし，その供給の100%を主として中国に依存しているため，持続的安定供給が危ぶまれている.我々は，2006年頃より植物工場での「甘草」生産に関する研究を開始し，2008年下半期からは，当研究所，鹿島建設，千葉大学の3者の共同研究「甘草の人工水耕栽培システムの開発」として実 施した（ただし，2009年は豊田通商を加えた4者）本研究において当研究所は，水耕栽培に適した優良株の選抜?育成と増殖法の開発および水耕「甘草」の品質評価を担当した.2012年度から は，当研究所を中心に，厚生労働科学研究「人工水耕栽培システムにより生産した甘草等漢方薬原 料生薬の実用化に向けた実証的研究」を開始し，上記2者に加え複数の企業?大学の協力のもと， 「甘草」をはじめとした漢方薬原料生薬の安心?安全な安定供給を目指し，水耕栽培による生薬生産の実用化を進めるとともに，生産された生薬の安全性?有効性の検証を進めている.以下に， 我々の取り組みについて紹介する.