救急医療における急性中毒

摘要

急性薬物中毒患者は日常の救急外来での診療において扱う頻度の高い疾患の一つである。服用される薬物は抗精神病薬が多いものの，内容は多岐にわたる。それらの作用などを理解するためには，薬理学·毒物学に対する深い知識が必要である。薬剤師は，これらの疾患について医師とともにチーム医療のなかで患者と接する重要な役割を担っている。救急医療における急性中毒を考えると，患者と接する以外にも，集中治療領域のなかでの薬劑の使用の方法，薬劑相互作用など，薬物動態学などの知識を背景とした効果的な薬物投与について助言を行うことも求められる。今後，薬剤師の救急医療部門での活動はますます活発となることが期待される。救急認定薬剤師制度の発足もその一環であり,今後の発展が望まれる。