低血糖をくり返す患者が安心してインスリン療法を継続できるインスリン調節と薬剤師としての指導ポイント

摘要

低血糖をくり返す患者の多くは，重症低血糖（第三者の介助を必要とし，認知機能の一過性の喪失，錯乱および昏睡を起こしうる症状）を経験者か，または不安定型（ブリットル）糖尿病（原因のいかんによらず，低血糖や高血糖によって生活が常に乱されているインスリン依存性糖尿病）である．厳格な血糖コントロールが重症低血糖の発現頻度の上昇に明らかに関与していることが示されている．1型糖尿病を対象としたDia－betes Control and Complications Trial（DCCT）では強化療法群の重症低血糖の頻度は61．7回/100人年で，従来療法群の18．7回/100人年に比べてリスクは3．28倍であった．