ラピッドプロトタイピング技術によるデザインの高度化：デジタルハンド－手の計算機モデルの利用

摘要

本稿では，手の詳細な計算機モデル構築のための課題と現状について説明した．人間の感覚や評価プロセスは解明されていないことも多いため，実体を使った評価プロセスを完全に排除することは，信頼性という観点から，おそらく無いものと思われる．しかし，良質のデジタルハンドがあれば，多数の設計案から，ラピッドプロトタイピングにより実体化すべき候補を的確に絞りこむことができる．また，ラピッドプロトタイピングにより実体化されたものが実際の製品に近い良質なものであるほど，試用評価の信頼性は増し，デジタルハンドの評価モデルに反映して質を高めることが可能である．このように，デジタルハンドとラピッドプロトタイピングは，互いの長所を生かす関係にあり，今後もその技術動向を，互いに追っていきたいところである．