大出力LD励起固体レーザードライバーHALNAによる2.4GWパルス,217W平均出力動作

摘要

筆者等のグループでは，Nd:glassをレーザー媒質とした強制水冷却方式のジグザグスラブ型 DPSSLドライバーHALNA (High Average-power Laser for Nuclear fusion Application)の概念設計に基づき出力拡大則に沿った実証実験が進められている．HALNAでは①水冷却を採用しているため空冷方式に比べ10倍程度冷却性能が高いこと，②ジグザグスラブ方式はジグザグ伝搬方向の熱効果を自動的に補償されることから熱効果の影響を低減できるというメリットがあり，2004年にはHALNA 10により8.4J，10Hz動作を実証した．HALNA開発の次のステップとして100JレベルのレーザーシステムHALNA 100が計画されている．ここではレーザー出力のさらなる高出力化とHALNA 10からの出力拡大則の実証を目指している．今回我々はHALNA 100への第一ステップとしてパルスエネルギー20J，パルス幅10ns，繰り返し10Hzのレーザーシステムの開発を進めてきた。 その結果21.7J，10Hz，ピーク強度2.4GW，光－光変換効率11.4％，動作時の平均出力217Wを得た．本レーザーシステムの実現によりHALNA 10からの出力拡大則が実証され，HALNA概念設計の実現可能性が示されたと言える．さらにこのような高繰り返し動作可能なガラスレーザーシステムは世界でも例がない．本論文では今回開発を行った20J，10Hzレーザーシステムの詳細について報告する．