生体環境下で自励振動する新規自励振動型高分子の創製

摘要

このような致命的な欠点を解消するため．本研究では駆動環境を生体環境場のような非常にマイルドな環境まで拡張させるための分子設計を実験的に明らかにしてきた．さらに外部環境（温度）の変化（入力）によってもその自励振動挙動を自在にon-offスイッチング可能にすることで，より生命体に近い分子システムに発展させることに成功している．駆動環境を拡張させるために，まずBZ反応に必要不可欠な酸性環境を自ら作り出す部位（pHコントロール部位）と，臭素酸を自ら供給する部位を内包した新規自励振動型高分子をそれぞれ合成し，酸無添加，または酸化剤無添加条件下で自励振動を起こすことに成功した。さらに，pHコントロール部位と酸化剤供給部位を併せ持つ新規自励振動型高分子を開発することにより，生体環境下で自励振動を起こすことに成功している．本稿ではまず，酸無添加条件下で駆動する自励振動型高分子の振動特性を紹介した後に，生体環境下で駆動する新規自励振動型高分子の振動挙動について紹介する．さらに段階的な温度変化によっても自励振動挙動を自在にon-offスイッチング可能なことについても併せて報告する．