3Dプリンターを用いた脳神経外科手術用トレーニングモデルの開発

摘要

本稿では，いつでも，どこでも，誰もが，安価に，実際の手術における術感を体験できるドライラボ用の脳モデルシミュレーターについて，われわれが行ってきた医工·産学連携の取り組み事例を紹介する．ここでは，顕微鏡下における脳神経外科手術操作の対象物を，構造および術感に重点をおいて再現させることを目的とした．構造については，数年前より世界中を席巻してきた付加製造技術（Additive Manufacturing）（ASTMによって7つの製造方式に細かく分類されているが，一般的には「3Dプリンター」という用語で普及している）を用いることで，また，術感については脳神経外科専門医の官能評価（接触感）のみならず，力学的評価を併せた客観的な評価手段を取り入れることで，構造および術感をリアルに再現させた脳神経外科手術トレーニング用脳モデルの創製を試みた．