今から50年ほど前に,紡糸過程を理論的に記述する試みが国内外の研究者によって行われた.とりわけ国内では東洋紡の研究陣が精力的に研究を行い,多くの成果を発表してきた。2000年のInternational Polymer Processingには,“Pioneering Polymer Industry Developments-The First Successful Mathematical-Computer Modeling of a Complex Process: Toyobo and Melt Spinning”の記事が掲載され,米国Akron大学のPolymer Engineering Academic CenterのPolymer Processing Hall of Fame(高分子成形の殿堂)に東洋紡の代表研究者(加瀬,松尾)が表彰され,二人の写真が掲げられた.1960年代は基礎理論構築の時代であり,1970年代に入って理論の拡充と進歩,さらに工業的な応用へと進んでいる.本講座では筆者らが中心に開発,応用展開してきた紡糸シミュレーションの代表例を紹介する.
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