スポーツシューズソール材料と実構造設計

摘要

図1に示した一般ランナー向けに開発されたランニングシューズを観察すると，非常に多くの部材を組み合わせて構成されていることがわかる．アッパーには様々な人工皮革による補強に加え，ヒールカウンタといった踵の形状に合わせた樹脂プレートが挿入されている．また，ソール中足部にはシャンクと呼ばれる樹脂板が装着され，ミッドソールにも様々な意匠が施されている．これは，シューズに求められる機能が多様化した結果に他ならない．それでは，シューズの機能とは何であるか，筆者らはシューズの要求機能を構成する基本機能を以下の8項目1.屈曲性－踵を上昇させた際の足沿いのよさ2.安定性－足部，脚部関節の過度な動きを抑制3.衝撃緩衝性－接地時の床反力を緩和4.通気性－シューズ内の温湿度を制御5.軽量性－シューズの重量軽減6.耐久性－使用期間の増大7.グリップ性－スリップなどによる転倒，怪我の防止8．フィット性－心地よい履き心地を発現に分類している．近年では，これらを組み合わせることによって，例えば屈曲性と軽量性を組み合わせることで，疲労軽減などの新たな機能設計が可能となることも明らかとなっている．