高機能GI型プラスチック光ファイバの開発と家庭内通信回線への応用

摘要

近年，急速にネットワークの常時接続化とブロードバンド化が進展している．これらの発展に伴い，高画質動画等の大量の情報をオフィスや家庭の端末でいつでも自由に扱えるようになってきている．またユビキタス·ネットワーク社会の実現に向けてリアルタイムコミュニケーションを可能とするFTTH （Fiber To The Home，家庭内通信回線）向け光ネットワークのラスト数百mの加速が重要になってきている．これらの背景から映像などの大量の情報をパソコン，ビデオ，ファックス，ゲーム機などの情報端末の間で自由にやり取りするためには，従来の電話線や同軸ケーブルでは限界があり，ギガビット／秒程度の大容量伝送が可能な光ファイバの利用に大きな期待が寄せられている．一方，インターネットの普及により日本では約160万世帯以上が光ファイバを使用したFTTHを利用している（2004年6月）が，残る約4200万世帯の内約40％は集合住宅であり，集合住宅への光ファイバの普及が日本のこれからのFTTH普及に大きな意味を持つと考えられている．今後地上波デジタルやデジタルカメラやビデオの画像が幅広く用いられるようになるのに伴い一般家庭間でも高精細のデジタル画像を，インターネットを通してやり取りする時代が到来し始めている．このような状況の中，日本のFTTH化を進める上で特に重要な既築集合住宅でのFTTH化を進めるには低価格，高い施工性，高速対応に優れたプラスチック光ファイバ(POF: Plastic Optical Fiber)が開発され，FTTHの普及が加速されることが期待される．ここでは，これらを背景にした高機能POFの開発とFTTHの応用について述べる．ここで述べる成果の一部は，慶応義塾大学小池康博教授の御指導のもと，NEDO「次世代FTTH構築用有機部材開発プロジェクト」高機能POFの開発により得られたものである．