ナノ粒子と分散技術：ナノ粒子の凝集·分散と表面処理技術

摘要

ナノ粒子は比較的安価で大量生産が可能となり，その用途の一つとしてナノ粒子高濃度分散高分子複合材科など具体的な部材等への応用が検討されつつある．開発対象となる複合材料の用途，目的を表1に整理してみた．ナノ粒子の分散法としては，有機溶媒等にナノ粒子を合成·分散させてから樹脂，高分子を重合する方法と，重合過程でナノ粒子を析出させる方法がある．特に前者の方法では，ナノ粒子の溶媒中での均一分散が課題となる．溶媒中での微粒子の凝集·分散状態を支配するのは，粒子の運動状態や粒子間相互作用である．粒子の運動状態は制御困難なブラウン運動と攪拌·超音波照射や電磁場など外力の作用によって決まる．微粒子化に伴いブラウン運動が激しくなるが，外力の効果は相対的に小さくなる．このため一度凝集すると，力学的な作用だけでは再分散が困難なる．ナノ粒子の凝集現象を制御するには粒子表面の改質や構造設計により付着·凝集力の低減や付着力に打ち勝つ反発作用を様々な手法で発生させる必要がある．ここでは，最初にナノ粒子になると何故，付着·凝集現象が発生し易くその制御が困難になるのかを粒子間相互作用や幾何学的条件などに着目して基礎的に概観した上で，凝集·分散現象の評価法と制御方法を紹介する．ナノ粒子の分散性を向上するには，ナノ粒子合成段階から粒子表面状態の設計を行う合成·分散同時操作法と粒子生成後に様々な表面処理を施し分散設計する方法がある．ここでは，後者の方法を中心に紹介する．