プラスチック成形加工の最近の研究動向：計測技術

摘要

プラスチック成形加工の分野における計測技術の役割は，（1）材料や成形品の特性評価，（2）成形プロセスの制御情報の取得，（3）成形現象検討のための評価量把握の3つに大きく分けることができよう．このような分類によれば，成形加工に関連するすべての実験的研究が何らかの形で計測技術に関連することになるが，既に計測器や測定方法が確立されているような材料や成形品の特性評価についてはここでの話題ではないであろう．また，成形プロセス制御情報についても，熱電対や圧力センサーなどの一般化した計測方法によって評価できる情報については，制御対象やその効果が画期的であっても，やはりここの対象ではなかろう．結局，本研究総覧で述べるべきは，新しい方法による材料や成形品の特性評価，従来にないプロセス制御情報の取得，あるいは目新しい成形加工現象の把握に限られるように思われる．そこで本稿では，筆者の個人的感覚に基づいて，これらの研究を主に昨年2003年の報告からピックアップして紹介したい．ただし筆者はどちらかといえば成形加工現象解明のフィールドに身を置く看であるため，生来の不勉強とあいまって，偏った視点からの総覧になっていることが容易に想像される．この点をあらかじめお詫びしておきたい．