近年の気温上昇の停滞（ハイエイタス）と地球温暖化対策への示唆

摘要

気温上昇を抑制する要因がいろいろあるとしても、化石燃料の利用が続く限りCO_2濃度が増加し、長期的に温暖化が進むことは否定できない。ただし、実際にどの程度の気温上昇が生じるかは不確かであり、ハイエイタス現象とも関連する大きな問題である。不確実性の幅が大きい場合は、所定の温度目標を達成するための排出削減が安全側（厳し目）に評価されることになる。2014年4月に発表された、IPCC 第3作業部会（WGIII、緩和策分野）のAR5でも、その傾向が見られる。本稿では、ハイエイタス現象の解明が、より適切な削減目標の設定に資するという観点から、この現象について解説し、今後の見通しを述べる。