イネにおける稈の開張型と直立型を持つ半矮性準同質系統の一株植付け本数の違いが形質の発現に及ぼす影響

摘要

1960年代のイネの単位面積当たり収量の向上は，半矮性イネ品種の育成と普及によって達成された.低 脚烏尖の半矮性遺伝子を持つ台中在来1号およびIR8は，熱帯諸国で従来のィンド型にはない高収量を示 した.低脚烏尖の半矮性は，半矮性遺伝子ブによって支配されている.sd1をもつ半矮性品種は，草丈 が低く，分げつが盛んで，葉身が直立し日射を効率よく受ける受光態勢に優れた草型によって高収量を可能 にした.本研究では，イネの草型の特性の1つである稈の開張程度に着目し，開張度の異なる準同質遺伝子 系統を用いて，異なる1株植付本数の条件下における受光態勢と生産形質を調べたのでその結果を報告する. 材料および方法：供試材料として，台中在来1号のタゴゾ遺伝子を4回の連続戻し交雑により日本水稲品種農 林29号に導入して育成した，半矮性で稃が開く開張型系統SOOと直立型系統SC-Eならびに反復親の農 林29号（N29)と供試親の台中在来1号（TN1)を用いた（表1).