佐久間象山型電気治療機の概要と新出装置の調査報告

摘要

佐久間象山型電気治療機は，戟前には4台の存在が確認されていただけであるが，平成14年から4年間おこなわれた江戸時代の器物や資料を総合的に調査する文部科学省特定領域研究「我が国の科学技術黎明期資料の体系化に関する調査·研究」のなかで新たな発見が相次ぎ，現在のところ10台の存在が確認されている．筆者は，このうち8台についての報告を終えている．これらの装置は，かつては「佐久間象山作の電気治療機」と呼ばれてきたが，10台全てに佐久間象山（1811～1864）の関与があったとは考えられないので，本稿では従来の呼び方にかわって佐久間象山型電気治療機と呼ぶ．以下では，まず佐久間象山型電気治療機について，筆者がこれまで発表した内容をも援用しながら，その概要を紹介する．また，上述の10台のなかの1台は，2009年になって発見されたものであり，同年4月から5月にかけて調査をする機会に恵まれたので，その調査結果を報告する．