水路補修工法の性能評価に関する考察

摘要

戦後の食糧増産時代に建設されてきた多くの農業水利 施設は，機能低下が進行し，随時更新の時期が到来して いる。しかし，農地面積の減少や社会経済情勢の悪化， 廃棄物処理問題，さらには国民への説明責任などの面か ら，農林水産省では，古くなつた農業水利施設を取り壊 して新たに再建設するのではなく，補修や補強を繰り返 しながら農業水利施設を長寿命化し，ライフサイクルコ ストの低減を目指す"ストックマネジメント"を導入し，平成15年度から「予防保全対策事業」や「予防保全対 策指導事業」などの取り組みを進めてきた。特にコンクリート製開水路については，土地改良区などの施設管理 者や，各都道府県，各土地改良調査管理事務所等が中心 となって機能診断を行い，構造的な劣化がない場合，旧 躯体を活かした様々な補修技術が適用されている。しか し，これらの中には，施工後早期に変状が発生し，補修工法に期待していた耐久性が確保できない事態が確認さ れている。