ABO血液型不適合腎移植の現状と問題点

摘要

献腎移植ドナ一がきわめて少ないわが国では1989 年よりABO血液型不適合腎移植が行われている。 Accommodation理論，リツキシマブを用いた脱感作 免疫抑制療法の発達によりABO血液型不適合腎移植 は発展し，現在，生体腎移植の約30%を占めている。 また，AB0血液型不適合腎移植の腎移植成績は血液 型適合腎移植と遜色なく， 2001年以降の5年生着率 は90%を超えるようになつた。AB0血液型不適合腎 移植は抗ドナー血液型抗体への対応が必要である。し かしながらリツキシマブの使用法を含めた至適脱感作 免疫抑制療法，術直前の目標抗体価，および抗体除去 法の是非など未だ明らかではない。また，AB0血液 型不適合腎移植は免疫学的にハイリスクであり，血液 型適合腎移植より過剰免疫抑制になる傾向がある。今 後，免疫抑制に伴う合併症を滅少させ，更なる成績向 上を目指した脱感作免疫抑制プロトコ一ルの確立が期 待される。