【H．pyloriと炎症反応一サイトカインを甲ヤニー】

摘要

H．pylori（Helicobacter pylori）感染症は，同一の菌が生体に感染しても宿主によってさまざまな病態発現が見られる点に特徴がある。感染が惹起する炎症反応として菌体成分であるリボ多糖体（LPS），CagA蛋白などがIし－8，NF－KBやIL－1β，TNFα，IL－12など，さまざまなサイトカインを誘導，産生するが，その発現には遺伝子多型性による個体差があることがわかった。 IL－1β，TNFα，IL－70などのサイトカイン遺伝子の遺伝的個体差と胃酸分泌能の個人差，さらに胃潰瘍，十二指腸潰象萎縮性胃炎の病態，胃がん発生リスクとの関連を示した。 一方，胃粘膜組織におけるこれらサイトカイン発現をmRNAレベルで横討した結果，IL－8 mRNA発現はH．pylori感染陽性で有意に高く1またCOX－2発現も高い傾向が見られるなど，個体の胃がん発生のリスク評価としてこれらの分子マーカーが使われる可能性が考えられる。