低アンテナ基地局の屋外－屋内伝搬損失推定手法の基礎評価－ストリートマイクロセル伝搬による屋外－屋内推定

摘要

通信技術の発達による伝送速度の劇的な増加に伴い，スマートフォンの普及や無線通信サービスの大容量化が進み，急増するトラヒックを分散するため，小セル化が進んでいる．このような小セル基地局は，セル間距離が短くなるため，干渉評価による適切な配置設計が必要不可欠である．特に同周波数帯でマクロセルエリアに小セルをオーバレイする場合，異なるアンテナ環境での干渉評価も必要である．著者らは，小セルエリアを形成するピコセルなどの低アンテナ基地局が道路上を伝搬して屋内へ浸透する電波の伝搬損失を簡易かつ高精度に推定する手法の考案に取り組んでいる．その手法として，屋内への侵入をストリートマイクロセル伝搬の延長とすることで，ストリートマイクロセル伝搬モデルを応用した屋外－屋内伝搬損失を推定する手法を検討している．本稿では，都市部環境での測定を実施し，ITU-R P1411と測定値の比較とストリート伝搬特性及び屋外－屋内伝搬特性について評価した．その結果，道路に面した場所から支配的なパスが到達するような環境では，ストリート伝搬モデルで屋外－屋内伝搬を十分に測定できるが，道路に面する開口面の大きさによって誤差が大きくなることがわかったため，それらに合わせた推定モデルの考案が必要である．