砂相当の粒径の細粒化に伴う 堆積物の物理的性質における変動特性

摘要

筆者はこれまで，砂浜海岸において潮上帯から潮下帯 上部における潜砂性小型甲殻類の帯状分布を解析し.汀 線域まではサクションの変動とそれに伴う物理的な土砂 環境の変動が，潮下帯においては砂漣,ステツプの生成 に代表される漂砂挙動の変化が带状分布域の構成に寄与していることを明らかにしてきた1)-。一方，堆積物 海岸には砂浜の他に礫浜も存在し，礫相当の粒径の堆積 物においては，砂浜海岸と異なりサクションがほぼ作用 しないため水中/空中重量の転換点としての飽和/不飽和 と礫の粒径（一粒の重量）がほぼ絶対的な影響力を持つ. 極めて単純な土砂環境を構成している可能性が高レ、こと を明らかにした《。このように，砂浜と礫浜は連続して 存在することもみられる一般的な堆積物海岸でありながら7),汀線域における物理的な土砂環境とその動態(《大 きく異なると考えられる。しかし砂浜から礫浜へ移行す るにあたっての物理的な土砂環境の変動が連続的である か否か，どの様な粒径からどの物理的な土砂環境の, が認められるか等は全く不明のままである。また， の砂浜,礫浜においては複雑な粒度組成の堆積物によら て成立しており，そのような場合に得られた物理的な土 砂環境の値がどの粒径に相当するか等，解析への応用に 必要な知見も得られていない。これらの知見は，今後堆 積物海岸汀線域において，とりわけ潜砂性生物の生態系 を解析するためには必要不可欠であり，取得する優先度 は極めて高い。以上のような現状を鑑み，本研究では汀 線域における砂礫間の物理的な土砂環境の変動が，どの 粒径から認められるかを明らかにすることを目的とした 室内実験を行った。具体的には，粒径が一定の範囲で.