積層電歪素子を用いたソナ一応答型 トランスボンダシステムの開発

摘要

超音波標識には，超音波送信器（ピンガ）とトランス ポンダがぁる。ピンガは送信のみを行う送信機であるの に対し，トランスボンダは質問信号を受信して応答信号 を送信する送受信機である。物体の水中位置を把握する際に使用されるトランスポ ンダの代表的な例は，旋網ゃトロール網にみられるネッ トゾンデがぁる。ネットゾンデでは網深度，網の昇沈速 度，網底部の水温，網離底距離をリアルタイムでモニタ リングすることができる。この超音波トランスボンダシステムは，日本においても外国においても研究が行われている"。これまでに，300kHzの高周波数のトランスポ ンダシステムが試作され，魚類などの行動追跡が行われ た2卜5)。しかしながら一般的に，トランスボンダシステ ムの対象物は大型の潜水艇（Autonomous Underwater Vehicles ： AUVやRemotely Operated Vehicle ： ROV) であり，漁業用として用いられているシステムも大型漁 具を対象としている6>~8)。一方で，日本の沿岸漁業の大 部分は5t未満の小型漁船が多く，先のネットゾンデシ ステムを利用できない小型漁具による操業が多レ、のが現 状である。漁獲効率の向上や，操業の安全性の向上を考える上で，漁具の水中位置や形状の把握は必須である。 さらに漁業者の高齢ィヒに伴う漁業技術伝承の危うさを考 えると，経験と勘による漁業から，誰もが客観的に判断 し得るデータと制御による漁業への移行が重要になると 考える。その為にも操業形態のデ一タ化において小型漁 具の水中位置や形状のモニタリングシステムは必要であ ると考える。