新規成長ホルモン分泌促進ペプチド“グレリン”の発見とその生理作用

摘要

成長ホルモン（GH）は下垂体前葉から産生·分泌され，文字通り身体の成長促進に重要な役割を持つホルモンである．その分泌調節は巧妙に制御されており，これまで上位中枢である視床下部からの2つのホルモンによって制御されていると考えられてきた．促進因子の成長ホルモン放出ホルモン（GHRH）と抑制因子のソマトスタチンである．近年，われわれは胃から新規GH分泌促進ペプチド「グレリン」を発見し，第3の経路によるGH分泌調節機構の存在を明らかにした．グレリンはGH分泌促進作用に加え，摂食亢進や脂肪蓄積，消化管機能調節などエネルギー代謝調節に重要な作用をもつ．