愛媛県愛南町における'地域発'の水産情報ネッ卜ワーク に関する取り組み

摘要

近年、農林水産業においても生産、加工、流通、販売、消費の各段階において、情報通信技術（ICT: Information and Communications Technology)の禾1 J活用力、 進んでいる。これまでに、トレーサビリティーをはじ めとして、生産、流通履歴の把握、さらにそれらの効 率的な管理に関わるさまざまな取り組みがなされ、普 及が進められている。加えて最近、進展が著しいのは、 生産現場の効率を高める"生産支援ツール"としての 利活用である。特に農業分野では、陸上や室内（ビニー ルハウスや植物工場など）であることの利点を生かし、 生育環境に関する高度なセンサーや、自動で作業を行 うロボットなどを導入して、生産の効率化が図られて いる。当然ながら、作物や土地ごとに適否はあるもの の、こうした生産現場では、"仮想していた未来が現実 化した"と感じさせるような景色が展開されている。 一方、水産業の生産現場では、以前から水温や塩分な どの広域的かつ公共的な環境情報が、自治体や水産関 連団体から発信され、広く利用されていたものの、農 業のように緊密に生産をバックアップ（支援）するま でには至っていなかった。しかしながら最近は水産の 分野も変わりつつある。水温計、溶存酸素計などの各 種センサーや測定機器、定置網や養殖生け簀に設置可 能な魚群探知機やモニター、これらと連結した給餌シ ステムなど、さまざまな技術の開発が進んできている。 愛媛県愛南町においても、平成22年度から地域独 自の水産情報ネットワークシステムの開発に取り組 み、現場や大学などと連携したユニークな利活用を 行っている。本稿では、これまでの取り組みと今後 に向けた活動内容について紹介する。