養殖海域における有害ブラ ンク卜ンを対象とした遺伝 子モニタリングの有効性と

摘要

有害藻類の検出および定量に遺伝子解析が有効で あることは以前から報告されており、その認識は 広く共有されてきている。魚介類の斃死をもたらす赤 潮原因種などの有害プランクトンについても、京都大 学のグループなどを含めて、国内外で活発に研究開発 が進められてきた5—7)(各種の遺伝子検出方法については引用文献8にもまとめられている）。一方で、高 額な機器を必要とすることや、ピぺット操作、試薬の 取り扱い、機器分析など、一連の作業が煩雑といった ネガティブなイメージもあり、導入へのハードルが高 く、多くの場合は日常的に利用するまでには至って いない。われわれの所属する愛媛大学南予水産研究セ ンタ—では、定期的に漁業者らとの意見交換の場が持 たれており、以前から赤潮の早期検出に関する強い要 望があった。そこでわれわれも、有害プランクトンの 遺伝子解析に関する研究を開始し、実海域において日 常的にモニタリングするための測定システムを構築 した。愛南町および地元漁協などによるサポートもあ り、4年ほど前から年間を通した遺伝子モニタリング を継続している。本稿では、これまでに行ってきたモ 二タリングの成果、長所と課題、実際の測定方法、さ らには貝毒プランクトンや病原体の検出を含めた、最 新の取り組みについて紹介したい。